夜に楽しめる食べ歩きなら、思案橋エリアがおすすめ。その橋で、男たちが歓楽街に「行こか戻ろか」と思案してたことから名づけられたと言われており、今なお、お酒や食事を楽しむ一帯として名を遺しています。もちろん、どっぷりしっぽりディープな時間を過ごすこともできるのですが、多様な飲食店が立ち並んでいて、フットワーク軽く、食べ歩きに興じるのにもピッタリの場所なんです。さながら、巨大なフードコート。地元民も観光客も、気軽に長崎を味わい尽くせる唯一無二のグルメ街であり、ネオン街でもあるのです。思案橋でおいしい思案を巡らせながら、臆せず一歩、足を踏み入れて。夜のネオンと食べ歩きに、一気に没入していきます。
はじまりは、一口で
ほおばる「幸せの味」から
まずは、〈宝雲亭本店 とり福〉から、食べ歩きスタート。何世代にもわたって愛されている有名店のオススメは、名物・一口餃子と、今はなき名店から受け継いだ唐揚げ。
異国文化も取り入れ発展してきた長崎。グルメの中で、中国テイストをしっかり感じつつも手軽な「一口」スタイルで永く地元民に愛されてきました。薄皮の生地に熟成させた雲仙豚や国産タマネギが詰め込まれており、ついつい「次へ」と手が伸びてしまうおいしさです。国産ハーブ鶏を使った唐揚げも、やわらかな身と熟成ダレのハーモニーがたまりません!
長崎のおいしい息吹=海の幸を
堪能できる鮨処
続いて足を運んだのは、思案橋の入口そばにある〈鮨場 いぶき地〉。そう、「鮨場」という名前の通り、おすし屋さんです。
江戸時代、鮨は手軽に楽しめるファーストフード的存在だったとか。だからこそ、食べ歩きプランに組み込むというのは、いわば王道。ましてや、“海産王国”長崎です。鮮度、ネタの種類、もちろんおいしさは言わずもがな。どこの暖簾をくぐっても、満足感を得られることと思います。今回は、ちょっぴり上品な雰囲気も含めて堪能しましょう。地魚と地酒にこだわり尽くしたこちらの店。メニューはすべて、その日水揚げされた海の幸の中から、大将が厳選した旬のものばかりです。カウンター10席だけの空間で、一人でもフラッと気軽に立ち寄りやすいのも魅力です。
四角い鍋の中で泳ぐ、
老舗のおでんを求めて
「思案橋横丁」の西の端、静かに灯る赤ちょうちんが出迎えてくれる、おでん専門店〈桃若〉。創業は昭和初期、90年を超える老舗です。カウンターの前には、ズラリと並べられたおでんのネタが鍋いっぱいに。
大根やこんにゃくといった定番おでんから、人気メニューのロールキャベツ・竜眼といったものまで、そのバリエーションは多岐に渡っています。長崎のおでんは、あごだしのやさしい味をベースに、甘めに仕上げたダシが特徴。そして、豊富な海の幸で仕立てた「かんぼこ」たち。練りものもまた甘めですが、意外にもお酒によく合います。カウンターに腰を据えながらアツアツのおでんを、さらに熱燗も注文しておけば、心も体もポッカポカに。芯から温まったら、さらに次のグルメを求めて思案橋散策を再開します。
食べ歩きの切り札!
長崎民のおなじみ、
ぶたまん。
長崎グルメを貪欲に食べ歩きたいなら、こちらもぜひ。中国から長崎の出島に伝来し全国に広まったと言われているぶたまんです。〈桃太呂〉のぶたまんは長崎産100%の豚肉とタマネギだけでつくる具材はもちろん、独自配合の小麦粉を使用し皮までおいしい一品。
小ぶりサイズで1個80円から購入できるので、おなかの満たされ具合と相談しながら購入できます。魅力は、何と言ってもホカホカ感!セイロで蒸し立てなので、寒い季節に最高です。食べ歩きのどのタイミングにも差し込めそうな便利感もいいですね。
長崎の夜。
“〆”と言えばコチラ!
おにぎりの名店
そして、食べ歩きのフィナーレへ。「〆は当然、おにぎりでしょ!」という声が方々から聞こえてきそうなので、人気の〈かにや〉へ。「お酒の席のシメはおにぎり」とい長崎ならではの食文化を生んだお店です。
かにやもまた、思案橋周辺で名を馳せる老舗のひとつです。言わずと知れた「おにぎりとお茶漬けの専門店」。塩さばや高菜、さけ……といった、種類豊富な握りたておにぎりを楽しめます。厳選したお米や最高級の有明海苔を使い、職人の手結びで仕立てられたおにぎり。たとえお腹いっぱいの状況でも、まだまだペロリと入っちゃうくらいの、魅惑のおいしさです!深い時間帯まで営業しているので、千鳥足で暖簾をくぐっている人も少なくないとか……。